男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

「しかしながら、わたくしはまだ見習いの身。まだ馬にもうまくは乗れません。そのようなわたくしが同行すると、逆に皆の足手まといになってしまうかもしれません」

 そう、正直に答える。
 私だって彼女に会って思い切り平手打ちしてやりたいと思っているけれど、今の私の実力ではやはり不安のほうが大きい。

「うーむ。そうか。馬にもまだ乗れぬか」
「は、はい……」

 改めて言われると恥ずかしかった。しかし事実だ。
 と、そのときだ。

「陛下。良い案がございます」

 そう声を上げたのはキアノス副長だった。

「ほう。申してみよ、キアノス」
「ラディスにその捜索隊長を任せるのはいかがでしょう」
「!?」

 ラディスが驚いたように副長を見る。

「昨夜共に魔女の呪いを解いたふたりです。あの魔女の捜索には適任かと」
「それは確かに良い案だ」

 そうして王様は声高に続けた。

「ラディス、お前に魔女捜索の任を与える。準備が整い次第、このトーラと共に出発せよ」

 ラディスは何か言いたそうな顔をしたが、覚悟を決めたのか恭しくその場に膝をついた。

「かしこまりました。必ずや、あの魔女を見つけ出してまいります」

 私もそれに習い膝をつき頭を垂れながら心の中で叫んだ。

(なんか、大変なことになったぞ……!?)


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