男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「あなた、聖女よね?」
いきなり訊かれてギクリとする。
……そういえばさっきも「間違いない、聖女だ」という声を聞いた。
答えずにじっと睨み上げていると、彼女は続けた。
「だってあなたさっきまで間違いなく男だったもの。あれは変装なんてものじゃなかった。変身よ。そんな奇跡の魔法が使えるのは伝説の聖女くらいだわ」
「……」
「トーラ、だったかしら。あのラディスのお気に入りだって言われてた見習いくん」
「っ!」
フェリーツィアにまで知られていたのかと羞恥で舌打ちしたくなった。
「てっきりあの男がそういう趣味だからこの私に靡かないのだと思っていたけど」
「うっわ出たよ。自信家発言」
「うるさい、黙ってて!」
青年が入れた小さなツッコミにすかさず怒鳴ってからフェリーツィアは続けた。
「あなたが聖女だから。そのことを知っていたからラディスは最初から私が偽者だと気付いていたんだ」
核心を突くように言われ、私は嫌な汗が出るのを感じた。