男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

「そしてここは私のような力を持った者が住む村」

 私は顔には出さずに驚く。
 村ということは、それだけの人数がこの森の中に住んでいるということだ。
 窓の外は暗くて今その規模はわからないけれど。

(なら、そこの彼も魔女……や、魔法使いなのか?)

 おかっぱ頭の彼をちらりと見る。

「私たちは、ずっと前からあなたが異世界から現れるのを待っていたの。なんとしても騎士団より前にあなたを保護したかったから」
「保護……?」

 その言葉にさすがに声が出ていた。
 保護とはどういうことだ。
 こんな拉致のような真似をしておいて。

「聖女の伝説は知ってる?」
「……軽く」

 小さくそう答える。
 私が聖女について知っているのはラディスから最初に聞いた話と、あとはヴィオーラ亭と城内で耳に入ってきた噂話。
 それと最近イリアスから聞いた騎士団との関係くらいだ。

「以前、何百年も前に異世界から現れた聖女は騎士団に守られながらその国に繁栄をもたらした」
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