男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「これはまた、随分と元気な聖女様だこと」
「!?」
急に入ってきた嗄れた声に驚き見れば、いつの間にか部屋のドアの前に杖をつき腰の曲がった白髪のおばあさんと、その後ろにもう一人、40代ほどの背の高い女性が立っていた。
「おばば様!」
「おばば!」
フェリーツィアとフヌーディが一緒に甲高い声を上げた。
(おばば様?)
そう呼ばれたおばあさんは後ろの女性に支えられながらゆっくりとした足取りで部屋の中に入ってくる。
そんな彼女に急いで椅子を用意しながらフェリーツィアが心配そうに訊ねる。
「なぜこちらに。起きて平気なのですか?」
「聖女様が見つかったと聞いたものでね。寝てなんていられないよ」
笑いながら椅子に腰を下ろしたおばあさんは、ふぅと息をついた後でその細い目を私に向けた。
おそらくは90代。もしかしたら100歳を超えているかもしれない。
その貫禄を前に妙な緊張を覚える。