男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
何も言えなくなってしまった。
レヴァンタとバラノスは仲が悪くこれまでに何度も戦争を繰り返しているという。
この世界にはミサイルのような兵器はない。
おそらくは鉄砲や大砲、火薬もないのだろう。
それでも争いに巻き込まれ家族を失い行き場を失う者は少なくないだろうと、向こうの世界の歴史を見ていれば容易く想像出来た。
「聖女様。あなたはなぜ騎士団にいるのです?」
「そ、それは……」
優しい目にじっと見つめられて、私は口籠る。
……元々はあちらの世界に帰るためだった。
でも今は違う。
私は今本気で騎士を目指しているし、仲間と共に切磋琢磨し、そんな毎日に生きがいを感じている。
「聖女様は、戦争がお好きなのですか?」
「それは違います!」
思わず大きな声で否定していた。
好きなわけがない。
戦争なんて私だって大嫌いだ。
平和が一番に決まっている。
するとそんな私を見てダフニさんはにっこりと微笑んだ。
「なら聖女様、この村で私たちと共に暮らしませんか?」
「え……?」