男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

「藤花?」
「あ、ごめん……なんか嬉しくて」

 私は目を瞑り一度大きく深呼吸をした。

 ……訊きたいことがまだたくさんある。

「そのサクラさんの子供がこの村を作ったんだよな」
「はい。そう伝わっています」
「その子の、父親については?」

 子供がいたということは、サクラさんには恋人、または夫がいたということだ。
 するとフレージアは言いにくそうに目を伏せた。

「騎士であったと……」
 
 やっぱりかと思ってしまった。

 ――サクラさんも騎士と恋に落ちたのだ。私のように。

 なのに……。

「その騎士は、どうなったんだ?」
「聖女様と共に殺されたと伝わっています」
「!」

 酷い話だけれど、それでもそれを聞いて少しほっとした。
 共に殺されたということは、その騎士はサクラさんを殺してはいないということだ。
 もしかしたら最期までサクラさんを守ったかもしれない。――そうあって欲しいという、ただの願望に過ぎないけれど。

「そう……」
「藤花は、なぜ騎士になろうと?」

 さり気なく訊かれてドキリとする。
 ダフニさんに訊かれたときは結局うまく答えることが出来なかった。
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