男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

男装聖女と魔女の村 5


 ダフニさんに不思議な力で眠らされたふたり。
 彼女は明朝には目覚めるはずだと言っていた。
 まさか、こんなに早く気がつくなんて。

(ど、どっちだ?)

 ラディスか、それともイリアスか。

(というか、いつから気づいてたんだ……?)

 これまでの会話を聞かれていたとしたら、どちらにしても最悪だ。
 イリアスだったら私の正体が、ラディスだったら私の迷いがバレたことになる。

「申し訳ありません」
「えっ」

 そのとき急にフレージアから謝罪され、話の途中だったことを思い出した。

「困らせるようなことを……」

 私の動揺を、彼女は私が返答に困っているととってくれたようだ。

「い、いや」

 それに合わせて私は首を振る。
 しかし、彼女は引いたわけではなかった。
 ベッドからすっと立ち上がり、彼女は続けた。

「ですが、この村の者は皆、聖女様が現れるのを長い間心待ちにしていました。どうか、今一度考え直してはいただけないでしょうか」
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