男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
必死な表情で懇願されて、私は内心大慌てで声を上げた。
「あ、あー、フレージア?」
「はい」
「その……言いにくいんだけどさ、実はさっきから喉が渇いてて、何か飲み物をもらえたら嬉しいんだけど」
軽く咳をしながら言うと、フレージアはハッとした様子で頭を下げた。
「気が付かず申し訳ありません! 今すぐにお持ちします」
「悪いな。あ、そんなに急がなくて大丈夫だから」
そうしてフレージアはパタパタと部屋を出ていった。
「……」
静寂が訪れる。
フェリーツィアとフヌーディがしっかり眠っていることを確認して、私は指でコンコンっと軽く背後の扉を突いた。
すると、すぐに同じようにコンコンっと音が返ってきた。
……やっぱりどちらか、いや、ひょっとするとふたりとも? 目覚めているのだ。
すぐに行動を起こさないということは、こちらの様子を伺っているのだろう。
フェリーツィアとフヌーディから視線は外さずにその場にゆっくりと腰を下ろしていく。
そして、扉の向こうに小さく声をかけた。