男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「レヴァンタの城で聞いたのは、『今年の花咲き誇る季節に聖女が現れる』って予言なんだけど」
案の定、そこでフレージアの顔が強張った。
彼女が私から視線を逸らす。
「それは……」
「やっぱり、それってあんたたちが流した嘘の予言だよな」
私がこの世界に来たのは二年前。今年じゃない。
予言なんていい加減なものだなと、これまであまり気にしてこなかったけれど。
フレージアが申し訳なさそうに頷く。
「はい……私たちが城に潜入しやすいよう予めそういう噂を流しておいたんです」
「でも、本当の予言はちゃんとあったんだよな?」
フェリーツィアは、いつまでたっても予言の場所に聖女は現れなかったと言っていた。
だから、予言自体は本当にあったはずだ。
はい、とフレージアは頷いた。
「予言があったのは二年前です。花咲き誇る季節、バラノスとレヴァンタの国境の森付近に聖女が現れると」
時も場所もばっちり当たっている。
国境の森付近……ラディスと初めて出逢った、あの森のことだ。
「しかし結局、貴女を見つけることはできませんでした……」
「それって、誰が予言したんだ?」
予言ということは、予言した者がいるはず。
しかしフレージアは首を横に振った。
「私たち聖女様の血を引く者が皆、夢に見たのです」
「夢に見た? じゃあ、その予言を知っていたのはこの村の人たちだけってことか?」
「はい。そのはずですが」
フェリーツィアから予言の話を聞いてからずっと引っかかっていたこと。
(なんでラディスは、あの時、あの場所にいたんだ……?)


