男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
(嘘ついてごめんな、イリアス……)
「なんだよ照れんだろ。でもそうだよな。あのラディス団長がそんな卑劣なことするわけないよな!」
いつもの調子でカラカラと笑い出したイリアスと一緒に笑う。
「ていうか、オレだってそんなことになったら全力で逃げるっつーの」
「だよなぁ。はぁ〜色々想像して変な扉開きそうになった自分を殴りてぇ〜」
「ハハっ、どんな想像してたか知らんが今オレが殴ってやろうか?」
「じょ、冗談だって! じゃあ、次の昇級試験は受かりそうだな!」
身を乗り出し急に真剣な目をして言われて、私はぐっと拳を握った。
「あぁ。今度こそ、絶対受かってみせる!」
「頑張れよ、トーラ」
「お前もな、イリアス」
次の試験は一ヶ月後。
ちなみにイリアスは既にニ度昇級試験に受かっていて、次の最終試験に受かれば正式に騎士になれるのだ。
私たちはテーブルの上でコツンと拳をぶつけ合い、にっと笑い合った。