男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
それかイリアスに頼んで交代してもらうのもアリかもしれない。
確か前回「変わってやろうか?」と言われた気がするし。
そう考えた矢先のことだ。
「明朝まで各自自由行動とする」
(え?)
宿の前でラディスが皆に告げた。
――自由行動?
「ただし、羽目を外してレヴァンタ騎士団の名を汚すようなことはするな」
「はっ!」
先輩方は嬉しそうに返事をし、早速「どの店にする?」などと話しながら宿から離れていってしまう。
お酒が大好きな人たちだ。きっとこれから飲み歩くつもりなのだろう。女の子のいるお店なんかにも行くのかもしれない。
(え、ど、どうしよう、私も)
「お前はどうする?」
「え?」
どうやら先輩方に誘われたらしいイリアスに訊かれ、渡りに船とばかりに私はそれに飛びついた。
「あ、じゃあオレも!」
「トーラ」
「はいっ!?」
背後から低く呼ばれ思わず声がひっくり返ってしまった。
恐る恐る振り返ると案の定ラディスが怖い顔をしていた。