男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

(もう、覚悟を決めるしかないのか……?)

 小刻みに震える手をぎゅっと握り、ラディスに続いてその部屋に入った。

 ――途端だった。

「っ!?」

 いきなり目の前が暗くなったかと思うと、強く抱きしめられて本気で心臓が飛び出るかと思った。
 一気に全身が熱くなって、でもそれ以上に抱きしめる腕の強さに驚く。

「く、苦し……っ」

 呻くとその腕が少し緩んでホっとしたのも束の間、耳元で囁かれた。

「口付けていいか?」
「!?」

 吐息交じりのその声にドキリと胸が鳴る。
 そして彼の整った顔面が近づいてきて、私は焦ってその胸を押しやった。

「ちょ、ちょっと待った!」
「もう待てない」

 またも良い声で囁かれ、その手をやんわりと取られてしまった。
 深いグリーンが間近に迫って、ぎゅっと目を瞑る。

「変身解くから、ちょっと待って!」

 とにかく必死で私はそう叫んでいた。


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