男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「さて、そろそろ出る支度をしなければな」

 途中で言うのをやめ起き上がったラディスの腕をむんずと掴む。

「なんだよ、気になるだろ!」
「……これは、まだ確証がない」
「いいから!」

 すると、ラディスはなぜか私から目を逸らした。

「……俺がお前に、藤花に触れたいと強く思うと、お前が元の姿に戻るみたいだ」
「え」

 その頬がこころなしか赤くて、私もそれに釣られて自分の顔が熱くなるのを感じた。

「じゃ、じゃあ、この前ここに泊まったとき」
「ああ……お前に触れたいと思っていたら寝ていたお前が突然藤花の姿に戻ってな。俺も驚いた」

 ということは、前に私が熱を出したときも。

(あのときも、私に触れたいと思ってたってことか……)

 てっきり体調が悪いせいで力が不安定になっているのかと思ったけれど。

 と、ラディスがばつが悪そうに続けた。

「まだ確証はないが、気をつける」
「あ、ああ」

 もしそれが本当だとしたら、ふとしたときに私の意思に関係なく戻ってしまうことになる。
 それは、確かにめちゃくちゃマズイ。
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