男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

「でもやっぱりラディスにも何かあるんだろうな……聖女関係の何か……」

 もどかしかった。
 今更ながら、ダフニさんが持っているという書物を見せてもらえば良かったなんて思ってしまう。
 帰る方法だけでなく、何かそこに重要なことが書かれていたかもしれないのに。

(まさか、あの村にまた戻るわけにもいかないし……)

「あっ!」
「どうした?」

 私はシーツで胸元を隠しながら起き上がった。

「ずっと、お前に訊きたいことがあったんだ」
「なんだ」

 今の今まですっかり忘れていたけれど。

「城の中に秘密の書庫があるって、ラディス聞いたことないか?」
「秘密の書庫……?」

 私が騎士団に入ろうと思ったそもそものきっかけ。
 聖女の伝説について記された書物があるという、秘密の書庫。

「そう。そこに聖女の伝説について書かれた書物があるって聞いて、それで私、騎士になって城に入ろうと思ったんだ」
「そういえば、魔女の家でそんな話をしていたな。……なんだ、やはり帰る方法が知りたいのか?」
「違う違う!」

 慌てて首を振る。
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