男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
私から一人部屋に移ってくれなんて、言えるわけない。
つい2日前に親友だと言ってくれたイリアスに対して。
勿論、イリアスが一人部屋の方がいいと言うなら、私にそれを拒む理由はないけれど。
「言えないのなら俺が言う」
「……」
私が俯き黙っていると、支度を終えたらしいラディスがため息交じりに言った。
「俺は先に行っているぞ。お前もそろそろトーラの姿をになれ」
「……わかってるよ」
かなりつっけんどんな言い方になってしまった。
ラディスが部屋を出ていき、私はベッドに腰を下ろした。
……ラディスにとったら、私が男と同部屋なのはありえないのかもしれない。
でも私にとったら、イリアスは友人……親友で、基本私はずっと男の姿をしているわけだし何も問題はないと思うのだけど。
むしろ、このまま部屋が別になったらイリアスと疎遠になってしまいそうで。
それがとても怖かった。