男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「あ」
「あ」

 支度を終え遅れて廊下に出ると、丁度イリアスとばったり出くわした。

「おはよう」
「お、おう」

 なんとなく気まずいながらも笑顔で挨拶すると、イリアスはなぜか焦ったように私から視線をそらした。

(……?)

 不思議に思いながらそのまま行ってしまう背中を追いかけ声をかける。

「昨日、遅くまで飲み歩いてたのか?」
「ま、まあな」
「よく起きられたな。また先輩に叩き起こされたんだろ」

 言いながら顔を覗き込むと、イリアスはまたふいと私から視線を逸らしてしまった。
 流石にムッとして先を阻むように足を止める。

「なんだよ。何で目合わさないんだ?」

 訊くと、イリアスはやはり目は合わさずに言いにくそうに答えた。

「……隠したほうがいいぞ、それ」
「何が」

 するとイリアスは私の首元を指差した。
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