男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「じゃあ、そんな騎士団長さんが今こうして私と空飛んでるなんてバレたら大変だな!」
「バレたら処刑だろうな」
「えっ!?」
物騒な言葉が出てきてぎょっとする。
「聖女を隠匿していた罪人として」
「罪人て、そんな大したことかよ!?」
私が言うと、ラディスは呆れたような顔をした。
「お前は己の存在の重要性をわかっていないのか」
「いや、まぁ、探されてるのは知ってるけど……。でも、ならなんで私をつき出さないんだ?」
「最初に言っただろう。俺は聖女の力に頼るつもりはない」
「でも今こうして」
「戦に関してだ」
私のツッコミを想定していたのか、軽く睨まれた。
「なのにお前は騎士になりたいと城に入ってきた。……全く、理解できん」
はぁ~と先ほどよりも重くて長い溜息を吐かれて私はハハと苦笑する。
こいつにしてみたら、戦に巻き込まれるから城には来るなと警告したのに、まさかの方向から私が巻き込まれに来たわけだから溜息も吐きたくなるだろう。