男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「そうだけど……お前は、急に一人部屋になって寂しくないのかよ」
「そりゃあ、まぁ……」
「オレは寂しい」
睨み上げながら言うとイリアスの瞳が大きくなった。
「トーラ……」
「だって、ここに来てからずっと一緒で……お前だってさっき言ってくれたろ。一番近くにいたのにって!」
「……言ったけど」
「オレは、お前のこと、もう家族みたいに思ってるのに!」
思わず、そんな普段なら恥ずかしくて絶対に口にできない台詞が出ていた。
でも、本心だ。
この世界に来て最初に仲良くなったイリアス。
向こうの世界でも「家族」のいなかった私にとって、イリアスはもうそこにいて当たり前の、友達を越えた家族のような存在で。
なのにイリアスはそこでふっと視線を落とした。
「家族、か……」
「お前は違うのかよ!」
「うーん……まぁ、俺もお前のことは弟みたいに思ってたけど……」
「なら!」
「でもさ」
困ったような、でもどこかスッキリしたような笑顔で友人は言った。