男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「そんなのオレだって」
「――それに」
イリアスは前を見つめたまま続けた。
「いつか現れるっていう聖女様をこの手でお守りしたくてさ」
「!?」
まさかの答えにぎょっと目を見開く。
「……って、言ったらどうする?」
振り返り、にやっと笑われて揶揄われたのだとわかった。
「お前なぁ」
……妙に真面目な声で言うものだから、一瞬どきっとしてしまったではないか。
私が半眼で文句を言おうとすると、イリアスは更に続けた。
「いや、でもこれは騎士志願者が皆一度は考えることだぜ?」
「まだ言うか!」
「だからさ~、お前にはもっとそれを自覚して欲しいっつーか」
「はあ?」
と、そのときイリアスが足を止めた。
路地の向こうから話し声が聞こえてきたからだ。


