男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
男装聖女ともう一人の聖女 4
「聖女様にお会いした!?」
「ああ、いいだろ」
夕飯時、具だくさんスープパスタを食べながら聖女様の話をすると、イリアスは目をまん丸にしてデカい声を上げた。
その声を聞いて周囲の奴らの視線も一気に集まり、ちょっとイイ気になって私は続ける。
「馬に興味があったみたいでな、ラディス団長と一緒に厩舎に来られたんだ」
「まっじかよ! で、どんな方だった!?」
「うーん、オレ的には可愛らしい人って感じだったな。ふわふわしてて。それと金髪だった」
「俺も今日お見かけしたぜ」
そう話に入ってきたのは、私の後ろのテーブルに座っていた奴だ。
「もうほんと、護ってさしあげたいって思える方だったなぁ」
「そう、それ! 声も可愛かったし」
「そうなんだよ! 笑い声なんてまるで小鳥が歌っているようでさ」
私たちが意気投合していると、イリアスが背もたれに身を預け天井に向かってぼやいた。
「いいなあー! 俺、今日城内にいたのに一度もお会いできなかった!」
「これからいくらでもチャンスはあるって!」
「君たち、少し静かにしてもらえないか」
突然、そんな不機嫌な声が上がった。
イリアスの後ろのテーブルからだ。
(ザフィーリ!)