男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
そして、その夜。
今日はイリアスの寝つきが早く(なんだかんだ疲れたのだろう)、私はいつもより早く部屋を抜け出すことが出来た。
いつもの武器庫裏に行くと、まだラディスは来ていなかった。
(ま、いつも待たせてるのはこっちだしな)
そう思い、私はいつも彼が私を待っている場所に凭れ、彼を待つことにした。
まだ少し気は重いが、それより今は早く聖女様の話がしたかった。
――しかし。
(あれ、ちゃんと合図だったよな? 目、逸らしちゃったけど……)
なかなか現れないラディスにだんだん不安になってくる。
もう1時間は優に待っただろうか。
(でも、あいつだっていつも長いこと私のこと待っててくれてたし)
それから更に待って、待って……流石に眠くなってきた私は欠伸のあとで溜息を吐いた。