契約母体~3000万で買われた恋~
そんな人が、本当に世の中にいるなんて。

子供を、命を、ただの値札のように数える人が――。

慎一さんは目を閉じ、しばらく黙っていた。

「……妻は、あの女に頼もうとしてる。」

「嫌です……そんなの。」

思わず私は、呟いていた。自分でも気づかぬほどの小さな声で。

そして気づいてしまった。

――私はただ“断った”のではない。

“あの女の代わりにされたくなくて”逃げただけだったのかもしれない。

なのに、私の心は今――はっきりと、彼の隣にいたいと叫んでいた。

「……俺も、嫌だと思った。」

静かにそう言って、真壁課長――慎一さんは、私の手をそっと取った。

その手はあたたかく、でもどこか、震えているようにも感じられた。

「そして同時に思ったんだ。」

彼は真っ直ぐに、私の目を見つめてくる。

「俺の子供を産んでもらうなら……理央さんに頼みたいって。」

一瞬、時間が止まったように感じた。
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