契約母体~3000万で買われた恋~
排卵予定日の二日前。

その夜、インターホンが鳴って、慎一さんが姿を見せた。

「……麻里から、今日がタイミングだと聞いた。」

スーツ姿のまま立つ彼の表情は、どこか影を落としていた。

「はい。」

私はただ、うなずくことしかできなかった。

沈黙の中で靴を脱ぎ、部屋へ上がってきた慎一さんは、ためらうように私の頬へ手を伸ばした。

そして、そっと唇を重ねる。

やさしくて、どこか悲しいキスだった。

「……これで妊娠したら、麻里の思うつぼか。」

ぽつりと漏れたその言葉は、自嘲のようだった。

目を伏せたその横顔が、どこか落ち込んで見えた。

でも、私はしっかりと彼を見つめて答えた。

「いいんです。それでも……私は、慎一さんの子供が欲しい。だから……妊娠させてください。」

その言葉に、彼の肩がわずかに震えた。

しばらく沈黙があったあと、慎一さんはそっと私の髪に触れ、低く囁いた。

「……なるべく、たくさん出すようにするから。」
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