契約母体~3000万で買われた恋~
「……私、一体……なんなの……?」

妊娠するためだけに呼ばれ、愛されたふりをされる。

麻里さんの計画に組み込まれただけの存在。

胸の奥に、黒いものが渦巻く。

「ああああ!」

声にならない叫びを、力いっぱい吐き出した。

愛しているって、言ってくれた夜があった。

優しく触れてくれて、名前を何度も呼んでくれた。

抱きしめられて、私は本当に愛されていると思ったのに。

――でも、それも全部。

妊娠するための行為だったのかもしれない。

その思いが、心を鋭く刺し、私の存在を否定していく。

「慎一さん……会いたいよ……」

だけど、私はもう、自分から連絡することもできなかった。

「慎一さんっ……」

声に出したところで、返事があるわけじゃない。

逢いたい、逢えない。

その言葉が部屋の中を空しく漂う。

肌が、心が、欲している。

ただ抱かれたいんじゃない。

あの夜のように、愛されたい。

名前を呼ばれて、心まで満たされたい。
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