契約母体~3000万で買われた恋~
そう言ったのは私。

けれど今は違う。

心が、体が、どうしようもなく彼を欲している。

「会いたいんです。あなたに。」

沈黙の向こうで、慎一さんの息遣いが微かに聞こえる。

鼓膜をくすぐるような、甘く、震えた吐息。

「すみません。わがままだってわかってるんですが……」

言い終える前に、彼が低く、けれど確かな声で答えた。

「……いや、今から行く。」

瞬間、電話が切れた。

その音に、胸が高鳴る。

え? 本当に……来てくれるの?

信じたくて、でもまだ信じられなくて――

けれどすでに、胸の奥にはあたたかい灯りが灯っていた。

「慎一さん……来てくれるんだ……」

会いたい。

抱きしめてほしい。

ただ、愛されたい――理由も、理屈もなく。

私はゆっくりと、部屋の明かりを落とした。

カーテンを引いて、玄関に視線を向ける。

ドアが開くその瞬間を、胸の奥で何度も、何度も想像しながら。
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