神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「しっかりしろ!大丈夫か!」

視界がぼんやりと霞んでいく中、玉座の後方に立つ一人の女の姿が見えた。

――クラリーチェ。

その唇が、悔しげに歪む。

「……しくじったか。」

呟くその声だけが、やけに鮮明に聞こえた。

「クラリーチェ!」

レオナルトは私を床に優しく寝かせると、すぐに振り返り、彼女の前に聖なる剣を突き立てた。

「魔女よ――この城から出て行け。」

堂々としたその声に、玉座の間は息を呑む。

しかしクラリーチェは、まるでそれを滑稽とでも言うように、小首をかしげて甘えるような声を出した。

「まあ……そんなレオナルト様が、私に出て行けだなんて。悲しいわ。」

「その甘えも、芝居も、もう終わりだ!」

レオの声は、怒りと悲しみに震えていた。

その時、国王・アレクシオが慌てて立ち上がり、レオの前に手を差し出す。

「どうした、レオナルト!クラリーチェはおまえの正式な婚約者だぞ!」
< 103 / 162 >

この作品をシェア

pagetop