神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「逃がすなっ!」

レオが叫び、聖剣を手に駆け出すが――

「くっ……!」

目の前で、クラリーチェの体が淡く揺らぎ、霧のように溶けていった。

「……消えた」

レオが私の肩を抱き起こし、血の気が引いた私の顔を覗き込んだ。

「探せ!魔女を探すんだ!」

彼の怒声が玉座の間に響く。すぐに国王の命が飛び、護衛たちが一斉に走り出していく。

「大丈夫か、エミリア……?」

レオの声が優しくて、胸に痛みが走った。

「ごめんなさい……」

私は震える声で謝った。

「私が……力を失ったから。クラリーチェを……見失った……」

悔しさと無力感が押し寄せて、私は床に崩れ落ちた。

せっかくここまで追い詰めたのに。あと一歩だったのに。

「違う。」

レオが強く首を振り、私をしっかりと抱きしめる。

「君がいたから、ここまで来れた。君がいなかったら、父上は――」

「私は……」

言葉にならない。涙が頬を伝った。
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