神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
国王アレクシオの瞳には、深い悔恨と責任の重さが宿っていた。

そして、静かにレオの手を取り、握りしめる。

「だが、おまえなら……魔女に屈せぬ。操られることもなかろう。なぜなら――」

王は、レオの腰にある剣をそっと見つめた。

「その手に、聖女・サエーナの聖剣があるからな。」

「……!」

レオは驚きに目を見開いた。

「父上……知っていて……俺に渡したのですか。」

「そうだ。」

国王は穏やかに笑った。

「そなたが幼き頃より、誰よりも真っ直ぐで、優しくて……何より、民を想う心を持っていた。聖女の剣に選ばれるのは、そなた以外にはおらぬと……ずっと、そう信じておった。」

レオの目に、じわりと涙が滲む。

「父上……ありがとうございます。俺は、必ず……この国と、聖女を守ります。」

「頼んだぞ、レオナルト。」

二人の手が固く結ばれたその瞬間、部屋の空気が少しだけ、あたたかく、凛と澄んでいった。
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