神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「いいんだ。聖女・サエーナも、初代国王・レグナスと結ばれた時は、許されぬ恋だった」

「……!」

「当時、聖女は神に仕える身でありながら、王に恋し、身を捧げた。だが、その愛が国を救ったのだよ」

静かな語り口に、誰も言葉を挟めなかった。

玉座の間に、しんとした静寂が流れる。

国王は遠くを見つめるように語った。

「サエーナは、魔女を倒す時、純潔ではなかったという。だが――力は衰えるばかりか、増すばかりだった。」

私は、はっと息を呑んだ。

胸の奥が、温かくなる。

「サエーナは、王の愛を聖女の力に変えたんだ。人の想いが、神の力すら凌駕したんだよ。」

言葉の意味が、心に染み入る。

サエーナは、愛を信じた。

王もまた、彼女を疑わなかった。

それが、奇跡を起こした――

頬をつたう涙を、私は拭いもせず、ただ静かに聞いていた。

国王は立ち上がり、レオナルトをまっすぐに見つめた。
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