神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
彼もまた、命がけの戦いに向かうのだ。

私は頷き、レオの前にそっと座った。

「しっかり、捕まっていて。」

「……うん。」

レオが、聖剣を天に掲げる。

「出発!!」

「おおおっ!!」

その声と共に、騎士団が一斉に動き出す。

蹄の音が大地を揺らし、風が旗をなびかせる。

私は、彼の胸に背を預けながら思った。

――この人となら、どんな闇の中でも、進んでいける。

そして夜。

騎士たちは静かに眠りにつき、森の手前の空き地には、いくつものテントが並んでいた。

私とレオは、少し離れた場所に、二人用の小さなテントを張った。

寝るだけの簡易ベッドと毛布。けれど、彼の腕に包まれているだけで、私は十分だった。

レオが小さく息を吐いた。

「……いよいよ、明日は嘆きの森だな。」

私は頷いた。

レオは、天井を見つめたまま、ぽつりとつぶやいた。

「もし……あの森で、俺が正気を失ったら。……その時は、迷わず、俺を置いていってくれ。」
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