神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「団長っ!」

ギィン!

鋼と鋼がぶつかり合う金属音が森に響く。レオは咄嗟に受け止めるが、その一撃は明らかに常人のものではなかった。

「団長、正気を――!」

「だまれええぇぇ! 王家など滅びてしまえぇぇっ!!」

クラリーチェの声が混じったその叫び。

完全に、騎士団長の意識は塗り潰されている。

私は震える手で祈りの印を結んだ。

「サエーナの聖剣……お願い……この方の中の、魔力を……解いて……!」

だが――。

(効かない……)

聖剣の光が確かに団長を一瞬包みかけたが、直後に黒い霧がそれを押し返した。

「……クラリーチェが……直接、操ってる……?」

そう気づいた瞬間、背筋が凍った。

森の奥から、女の笑い声が響く。

「ふふふ……いくら祈っても、私の呪縛は解けないわよ?」

森の空気が重く、どこか濡れているような気さえする。

この森自体が、彼女の魔力に染まっている。
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