神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
レオは歯を食いしばり、聖剣を握り直した。

「団長……目を覚ましてくれ……!」

その声は、剣の一振りよりも痛切だった。

だが――剣を振るわねば、彼は殺される。

忠義に篤い部下であっても。

「やめてぇっ!」

私は叫んだ。

「お願い……レオナルト、私に時間を……!」

その瞬間、私は膝をつき、魔力を練り始めた。

(神よ……どうか、もう一度だけ、私に力を……)

すると――

サエーナの聖剣が、眩い光を放った。

「今だ……!」

私はレオナルトの手の上に、自分の手を重ねた。

その剣を、共に握る。

「聖剣よ……魔力を、討て!」

光が爆ぜた。雷鳴のような音が森に響き、眩しさに目を閉じた瞬間――

「うあああああああっ!!」

騎士団長の身体から、青白い光の塊が引き剥がされるように飛び出した。

それはしばらく空中を彷徨ったのち、嘆きの森の深奥へと消えていった。

「……はっ、はっ……!」

騎士団長が、膝から崩れ落ちる。額には汗がにじみ、呼吸は荒い。
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