神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「団長……!」

レオがすぐに彼を抱きとめた。

「団長、しっかり……!」

騎士団長は、震える手でレオの胸元をつかんだ。

「よかった……殿下を……殿下を、斬らずに済んだ……」

その言葉に、レオの眉が強く寄る。

「何を言っている。君は……俺の、誇り高き部下だ。」

そう言って、レオは彼を優しく抱き寄せた。

私は祈るように手を胸に当て、そっと微笑んだ。

(ありがとう……サエーナ様……)

森の空気が、少しだけ軽くなった気がした。

そして、嘆きの森を抜ける頃には、騎士団はもはや数えるほどしか残っていなかった。

「他は皆……森に飲まれたか。」

静かに並ぶ木々の向こうに、仲間の姿はない。鬱蒼とした木立。

それだけの景色に、これほどの魔力が潜んでいたとは思いもしなかった。

私は深く息を吸い、隣にいる男を見た。

「騎士団長。」
< 130 / 162 >

この作品をシェア

pagetop