神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
私は息をのんだ。

そう、あの城の大広間に描かれた壁一面の名前たち――

サエルヴァ家の魔女たちの名が、代々、途切れることなく刻まれていたのはそのためだったのか。

「そして――時は満ちた。」

クラリーチェの声が低く響く。

「私は魔女サエルヴァ一族の中で、最も強き力を受け継いだ存在。あのマル=ナル・サエルヴァの力を、完全に覚醒させた。」

その瞬間――
広間の奥にある黒い泉が、激しく泡立ち、青白い光が噴き出した。

「見なさい。この泉こそ、マル=ナルが最後に命を捧げて作った“魔の結界”。私はその封印を解いた。この国の命脈は、いま私の手の中にある。」

レオが剣を構える。

「泉を……支配しているのか?」

「ええ。王家の繁栄の象徴だった命の泉は、いまや魔の力を満たす呪われた泉。この泉を通じて、王国中に“絶望”が流れ出すの。」
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