神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
『……うそ……やめて……そんなこと言わないで……』

だが、崩れた仮面の奥から現れたのは、かつて王を恋い、親友を信じていた少女――

赤い髪を持つ、美しい女性の姿だった。

『だったら……どうしてあの時、あの人は……!私は……私は何のために……!』

サエーナがそっと手を伸ばし、彼女の頬に触れた。

「でも……あなたは、そんなレグナスの心を――操ろうとした。」

サエーナの声は静かだった。だが、その言葉は鋭く、城の大広間に深く響く。

「操って、魔女の国を建国しようとした。レグナスは、苦しんでいました。愛する女性のために、人の国を捨てるべきか。魔女と共に歩むべきか……その狭間で。」

クラディアは瞳を見開いた。

『……やめて……それ以上は……』

「でも、神託が降りてしまったのです。」

サエーナの声音が震える。

「『魔女を討て』と。そして、私が――王妃となるべしと……」

クラディアの脚が崩れるように折れた。
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