神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「あっ……あっ……いやっ……!」

クラリーチェの叫び声が、大広間に響き渡った。

その身体に絡みつく青黒い魔力の奔流――

「マル=ナル・サエルヴァ……!」

古の魔女の王。その邪なる魂が、今まさにクラリーチェを“器”として完全に支配しようとしていた。

「くっ……!」

私は一歩前に出た。レオも隣に並び、共に剣を握る。

「討つべきは……マル=ナル・サエルヴァの本体か!」

「クラリーチェを……救う!」

私たちは聖剣を同時に構えた。サエーナの遺した、神聖なる力。

「う、うわああああ!」

クラリーチェの瞳から光が失われていく。

髪が宙に舞い、まるで別人のように口元が吊り上がる。

『フフフフ……ようやくこの時が来た。人間どもを滅ぼし、魔女の王国を築くのだ……!』

その声はもう、クラリーチェのものではなかった。

「クラリーチェ……!」

私は震える手で、レオの手の上に自分の手を重ねた。

「お願い……もう一度だけ、あの子に届いて……!」
< 148 / 162 >

この作品をシェア

pagetop