神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
――バキィン!

空気が裂ける音とともに、クラリーチェの胸元から何かが“はがれる”ように、青黒い塊が浮かび上がった。

『貴様……貴様だけは……!王族の血と、聖女の力……!我が破滅を運ぶ、忌まわしき運命……ッ!』

その“影”のような魂が、悍ましい顔を作り上げ、こちらに爪を向ける。

「レオ、今よ!」

「おおおおおっ!!」

「マル=ナル・サエルヴァ! 闇へ還れ!」

聖剣が眩い閃光を放ち、空気が震えるような爆音が鳴り響いた。だが――

『還るものかあああああああ!!』

マル=ナルの魂は、まるで深淵から這い出した怨嗟の塊のように、光に抗って呻いた。

クラリーチェの身体からなおも引き剥がされまいと、黒き鎖のような魔力を這わせてくる。

「くっ……! 強い……!」

聖剣を握る腕が、しなるように痺れた。その時だった――

――ふいに、誰かの手が、私たちの上から重なる。

『手を貸す!』

太く、低く、そして優しさを含んだ声。
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