神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
乾杯が終わり、祝福の声が飛び交うなか、会場の隅から一人の青年が現れた。

「おめでとう、エミリア。」

懐かしい声に振り向くと、そこにはユリオがいた。

相変わらずの笑顔に、思わず私は頬を緩める。

「ありがとう、ユリオ。」

彼がダンスを教えてくれなければ、

あの舞踏会の夜――レオと結ばれることもなかった。

そう思うと、胸がじんとする。

「残念だな。」

「えっ?」

「……あのまま僕と踊り続けていたらさ、エミリアの“純潔”を奪う相手は――僕だったかもしれないのに?」

冗談めかして言うその口調に、場の空気が凍りつく。

そして次の瞬間。

「なんだって⁉」

レオが風のように駆け寄ってきた。

眉間に皺を寄せ、真剣そのものの顔。

「レオ!」私は慌てて腕を伸ばす。

だがレオは私の背後に立つユリオを睨みつけた。

「ユリオ・ダンカーク、貴様――!」
< 157 / 162 >

この作品をシェア

pagetop