神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
式典が終わって、私は神殿付きの侍女に促され、控えの間の椅子に座った。

背もたれに金細工が施された、豪奢な椅子。

脚の先には獅子の爪のような飾りがついていて、座るたびに背筋が伸びる。

「本当に……重い、このティアラ……」

ドレスも、靴も、香の匂いも――全部、私のものじゃないみたい。

今すぐにでもティアラを外して、深く息を吐きたい。

でも、神殿の儀式係から「式が終わるまでは着用を」と言われていた。

だから、我慢。あと少し。

ふぅーっと、静かに息を吐いたそのときだった。

「あなたが……聖女様?」

声がした。

すぐそば。

優美で、透き通るような声だった。

顔を上げると、そこに立っていたのは――

どう見ても、ただの貴族ではなかった。

誰もが振り返るほどの、美貌。

艶やかなブロンドの巻き髪、上質な緋色のドレス、細く整った眉と、鋭く輝くアメジスト色の瞳。
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