神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
私は恐る恐る聞き返した。

それが褒め言葉なのか、脅しなのかも分からずに。

「ええ。だから、大切にするといいわ。」

それだけを言い残して、彼女は優雅な足取りで去っていった。

カツン、カツンと響くヒールの音が遠ざかっていく。

その後ろ姿を見送っていたとき――ふと、気づいた。

窓辺に飾られていた山百合の花束。

そのうちの一輪が、音もなく首を垂れ、茶色く変色していた。

他の花は、まだ咲いている。

でも、その一輪だけが、確かに――枯れている。

「……っ」

何も触れていないのに。

誰も、水をこぼしたわけでもないのに。

まるで、何かの“呪い”がそこに宿っているようだった。

私の中に、ひやりとした風が吹き抜けた。

クラリーチェ・フォン・エインベルク。

あの人は、美しいだけじゃない。

その微笑みの奥に、何か――とても危ういものを抱えている。
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