神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
そして、私の新しい宮殿での生活が始まった。

慣れない天蓋付きのベッド、大理石の床、窓辺のバラの香り……

すべてが、まるでおとぎ話の中のようだった。

「アニーと申します。聖女様のお世話を賜り、光栄です。」

にこにこと明るく笑う、小柄な侍女。

柔らかな栗色の髪を結っていて、声もはきはきしている。

「私のことはエミリアと呼んで、アニー。敬称は要らないわ。」

「はい、エミリア様!」

元気よく返事をして、早速、用意してくれたのは香り高い紅茶。

可愛らしいカップに、琥珀色の液体が注がれていく。

その香りだけで、少し気持ちが緩んだ気がした。

けれど、次の瞬間――

手元が揺れ、カップが傾き、熱い紅茶が私の手の甲に零れた。

「……っ!アニー……?」

思わず声をかけると、彼女はこちらを向いた。

そして、その顔――

瞳の奥が、淡く、青く光っていた。
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