神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
私は、そのときはただのおとぎ話だと思っていた。

でも、今なら分かる。

あの青い光――あれは、魔力の“兆し”。

まさか。

まさか、本当に。

誰? ここに“魔女”がいるとでもいうの?

宮殿の中に?

私の侍女として仕えている、このアニーが?

私は背筋が冷たくなるのを感じながら、そっと手を握りしめた。

もし本当に、魔女がこの宮殿にいるとしたら。

それは、きっと“私の敵”として現れる。

「アニー、私の部屋に来る前に……誰かと会った?」

尋ねると、彼女は小さく瞬きをして、少しの間だけ考え込んだ。

「はい……クラリーチェ様と。」

クラリーチェ――!

その名を聞いた瞬間、心の奥が冷たくざわめいた。

私は思わず、アニーの肩に手をかけていた。

「アニー。彼女に……何かされた? 言葉的な、命令とか……」

「ええっと……確かに何か話しかけられた気がします。でも……覚えていません。言葉が、霧の中にあるみたいで……」

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