神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「皇太子殿下……」

思わず身を正した私に、彼はふっと微笑んだ。

「ああ、遠慮はいらない。レオと呼んでくれていいよ。」

昨日の式典で見せた、厳格な“皇太子”の顔とはまるで違う。

どこか軽やかで、親しみやすい雰囲気を纏っていた。

「いえ……まさか皇太子殿下を、ニックネームで呼ぶのは……」

そう言うと、彼は楽しげに笑った。

「ははは。礼儀正しいな。でも、この宮殿では皆、レオと呼んでいる。“皇太子殿下”なんて呼ばれると、堅苦しくて息が詰まりそうだ」

私はふっと笑ってしまった。

この人は、たしかに“愛されている”のだ。

笑顔を向けるだけで空気が緩む。

貴族たちが彼を慕い、信頼している理由が少しだけ分かる気がした。

けれど――その笑顔を見つめながら、私はふと問いかけていた。

「……クラリーチェ様って、どこのご令嬢でしょうか?」

その名を口にした途端、レオナルトの笑みが、ほんのわずかに止まった気がした。
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