神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「それは……カッコいいですね。」

「そうね。」

自然と微笑みがこぼれたその時――

アニーがふと、首をかしげた。

「でも、心配です。」

「え?」

「エミリア様が、皇太子殿下に惹かれてしまわないか……」

その一言に、心臓がドクンと跳ねた。

「そ、そんなこと……!」

慌てて否定しながら、視線を落とす。

胸の奥でざわめく感情を、どう名付けていいのか分からない。

「私は……聖女よ。惹かれるなんて、そんなの……」

「でも、エミリア様は人間です。」

アニーの言葉が、柔らかく刺さる。

私はティアラにそっと触れた。重く、美しいその冠。

“これは神の証であって、恋の許しじゃない。”

そう思いながらも、心の奥で誰かの姿を探してしまう自分がいた。

「王家の歴史で、一度だけ――聖女様が王妃になった事があります。」

アニーはそう言いながら、湯気の立つ紅茶をそっと私の前に置いた。
< 42 / 162 >

この作品をシェア

pagetop