神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「でも……周囲の反対を押し切っての恋愛結婚だったそうです。」

「恋愛結婚……」

その響きに、私は無意識にティーカップを見つめた。

「結局、聖女様はその立場と務めに疲れ切ってしまって……早世されたとか。」

アニーの言葉は、紅茶の香りとともに、静かに胸に落ちてくる。

「それからは、聖女様と皇太子殿下の恋愛は、あまり語られなくなりました。きっと……代々、避けられてきたのだと思います。」

「……」

私はティーカップをぎゅっと握りしめた。

熱が指に伝わってくるのに、心の奥は冷たくなるばかりだった。

レオ様の姿が脳裏に浮かぶ。

魔物を斬るその手。私を抱きとめる腕。優しい笑顔――

「……そんなの、いけないのよね。」

私は誰に言うでもなく呟いた。

「エミリア様……」

アニーの声が、どこか心配そうに響いた。

「私、聖女として生きるって決めたもの。人としての幸せなんて、望んではいけない。」
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