神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
そう口にしながらも、胸の奥の痛みは消えなかった。

“惹かれてはいけないのに。”

それなのに、レオ様の瞳の奥を思い出すだけで、心が揺れてしまう――

夜更け、私は静かに部屋を出た。

寝室の脇にある私室にはお手洗いが備えられていなかったので、廊下の奥へ向かう。

深夜の宮殿は静かで、足音すらもためらうほど。

その途中だった。

――レオ様の部屋の扉が、わずかに開いていた。

「あれ……」

私は立ち止まった。

呼吸すら止めるように、扉の隙間から、ちらりと中を覗く。

見てはいけない。

そう思った瞬間、目に飛び込んできたのは、裸のクラリーチェ様だった。

その肌は白く、美しく、何も纏っていない。

彼女はベッドの上にいて、誰かを誘うように笑っていた。

「レオナルト……もっと、私を愛して……」

ぞくりと背筋に冷たいものが走る。

「……ああ、クラリーチェ。君を……愛している……」
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