神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
軽くお説教されながら、でもその声もどこか嬉しそうで、私は思わず頬を緩めた。

廊下を歩くうち、レオの胸元から漂う香りに気づく。

ほんのりとした香草のような、でもそれだけじゃない――この人の匂い。

「この匂い……」

「ん? 俺の香か?」

私は小さく頷いた。

「安心します。」

レオの腕の中で、ふっと息を吐いた。体中から力が抜けていく。

温かくて、柔らかくて……もう、このまま眠ってしまいそう。

目蓋が落ちる寸前、確かに聞こえた。

「安心するのは、俺の方だ。」

その小さな声に、心の奥がくすぐられるような感覚がした。

眠りに落ちながら、私は思う――

この人の中にいると、まるで夢の中にいるみたいだと。

目が覚めた時、窓から差し込む柔らかな陽の光が、カーテン越しに部屋を照らしていた。

ぼんやりとした視界の中、私は枕元に視線を走らせたが、そこに誰の姿もなかった。

「……アニー?」

小さく声を掛けてみる。返事はない。
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