神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
しばらくすると、窓の外に青く揺れる光が見えた。

「……魔女?」

嫌な予感が胸を刺した。

私は急いで外套を羽織り、そっと外へ出た。

光は、日中に私が浄化した泉の方角からだった。

(まさか……あの場所にまた魔力が?)

私は音を立てないよう草の上を踏みしめ、木々の影に身を潜めた。

そこに、青白い魔力の波動に包まれた一人の女の姿が――。

「……クラリーチェ様?」

月明かりの中で、彼女は泉に向かって、まるで呪文を紡ぐように静かに唇を動かしていた。

「マル=ナグ・サエルヴァよ、命の流れを渇かせよ。
大地よ、泉を閉ざせ。
水よ、闇に還れ……。」

(……その名、どこかで……!)

脳裏に浮かんだのは、神殿の図書館で見た、禁断の魔術書。

《マル=ナグ・サエルヴァ》――古代の魔族。
水と命を枯らす、忌まわしき女神。

(……まさか、クラリーチェ様が……!)
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