神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
背後から駆けつけたレオナルトが声をかけた。

二人で泉を見下ろすと、そこには――

「これは……!」

ただの枯れた泉ではなかった。

その水面は、不気味なほど静かに凍てつき、青白い光がまるで呪いのように渦を巻いている。

「……強力な魔女の結界だ。」

私は思わず後ずさった。

昨夜、クラリーチェが放っていたあの呪文。まさか、ここまでの力があるなんて――

「泉を、取り戻せるか?」

レオの問いに、私は唇を噛んだ。

「……無理です。今の私では……結界が強すぎます。」

悔しさで声が震える。

自分が回復させたはずの泉が、再び、しかもより強力に封じられている。

レオが私の肩に手を置いた。

「君が責められることじゃない。むしろ、誰も気づけなかった中で、君だけが見抜いた。」

その言葉が、少しだけ私の胸を軽くした。

だけど――
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