神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「誰が誰だかわからない。それが、仮面舞踏会の面白さですから。」

ユリオの言葉に、私はそっとうなずいた。

「うん、頑張ってみる。」

「その意気です。」

それから私は、アニーに手伝ってもらってドレスに着替えた。

仮面を手渡されると、不思議な気持ちになる。

この仮面が、私のすべてを隠してくれる。

「まるで別の人みたいですね、エミリア様。」

アニーが微笑む。

「ありがとう、アニー。……行ってくるわ」

舞踏会の会場へと向かう。煌びやかな光、きらめくシャンデリア。

仮面をつけた男女が、優雅にステップを踏んでいた。

誰が誰かなんて、全然わからない。

貴族も騎士も、王族も、私のような聖女さえも、ただの“誰か”になる夜。

私はそっと壁際に立った。

誘われるまで待つ――そういうものなのだろうか?
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